人口減少問題と地方経済への影響(前編)~どうなる?2070年の日本・熊本~
はじめに
国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)より、2070年までの人口推計が公表され、日本の人口はこれからの約50年間で、2020年の人口である1億2,615万人から約3割減少し、8,700万人になると推計された。また、6月に公表された2022年度の合計特殊出生率は1.26と2005年に並び過去最低を記録し、政府は「静かなる有事」、「待ったなしの先送りできない課題」と危機感を顕わにしている。
この避けては通れない人口問題と地方経済への影響について、前後編に分けて考察する。前編となる本稿では、自然増減の観点から2070年の日本の未来を予測する。また、年内には地域別の将来人口推計の公表が予定されていることから、後編では国内での人口移動(=自治体間での人口の取り合い)に関係の深い社会増減の観点を含め、熊本県における人口動態を探る。なお、後編は2024年2月の発表を予定している。
目次
はじめに
- 日本における人口減少の状況
- 出生数減少の要因
- 人口減少の影響
おわりに
レポート一部
1.日本における人口減少の状況
- 外国人を除くと、日本人の人口は2070年では約4割減少する。
- 出生数の低下と死亡数の増加が人口減少の原因。
(1)2070年の日本人の人口
社人研は2070年の日本の人口を約8,700万人と推計しているが、これは外国人労働者900万人を含んだ推計である。他国と比べ賃金面での魅力が低下する中、900万人もの外国人を含むことはやや楽観的と考えられ、移民対策としての有効な施策が別途必要となるだろう。そこで、外国人を除くと、2070年の人口は約7,800万人となり、2020年の日本人のみの人口である1億2,340万人から約4割も減少することとなる(図表1)。