「電子デバイス関連産業集積に伴う地域経済への波及効果」の見直しについて

はじめに

 経済安全保障の観点から、半導体の日本国内への安定供給を目的として、TSMCが熊本へ工場進出を決めて 3 年が過ぎようとしている。その間に当研究所は進出や半導体関連企業の集積による経済波及効果を算出し、熊本の経済が受けるインパクトとして提供してきた。
 今回は、JASM第二工場およびその他関連企業設備投資情報をもとに、経済波及効果を見直した。

目次

  1. 半導体産業支援に向けた背景
  2. 企業進出の状況・計画
  3. 推計方法
  4. 分析概要および結果

レポート一部

  1. 半導体産業支援に向けた背景

 (1)国(政府)

 日本の半導体産業は、長らく低迷時期にあったが、経済産業省は日本の半導体関連産業の売上目標は2030年までに現在の 3 倍の15兆円を目標として、経済安全保障と技術革新を両立させることを目指している(図表1)。

 2023年 6 月に経済産業省が公表した「半導体・デジタル産業戦略」では、半導体産業の強化を目指 し、主な戦略の項目として国内産業基盤の強化、経済安全保障の確保、生成AIとデジタルインフラ の整備、そして国際連携の推進を掲げた。具体的には、先端半導体製造技術の共同開発や国内ファウ ンドリの設立、半導体サプライチェーンの強化、生成AIを活用した情報処理基盤の構築などが含まれている。

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