エンゲイジメントを高める「ジョブ・クラフティング」
はじめに
従業員のエンゲイジメント*1が低いと、従業員にとっては自身の能力が発揮できずやりがいを感じられない、企業にとっては生産性が上がらず離職率も悪化するなど、双方にとって不幸である。
本稿では、まず日本のエンゲイジメントの状況について述べる。そして、エンゲイジメントを従業員自ら向上させる手法の一つとして、「ジョブ・クラフティング」の有効性が近年研究されていることから、その概要を整理し、今後の可能性について展望する。
*1:組織への貢献意欲や帰属意識、仕事へのやりがい、活力などを表す。尚、本稿の図表では「エンゲージメント」の表記があるが、本文では厚生労働省が用いている「エンゲイジメント」を使用する。
目次
- 日本の職場におけるエンゲイジメント
- エンゲイジメントの分類と業績との関係性
- ジョブ・クラフティングの概要と効果
- おわりに ~ジョブ・クラフティングの今後の可能性~
レポート一部
1.日本の職場におけるエンゲイジメント
米ギャラップ社の2022年度の調査によると、日本の職場でエンゲイジメントが高い従業員は5%と、4年連続で過去最低を記録した(図表1)。世界平均は、過去10年間で10%上昇したことで2022年度は23%となり、日本との差は開く一方である。