人口減少問題と地方経済への影響(後編) ~社会増減分析~
はじめに
2024年4月、人口戦略会議より「地方自治体『持続可能性』分析レポート」が公表された。「消滅可能性自治体※」は全国1,741自治体のうち、4割超となる744自治体に上る。このレポートのもととなったのが、昨年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の地域別将来人口推計」である。本推計によると、熊本県の人口は今後30年間で約40万人減少する見通しとなっている(図表1)。15~64歳の生産年齢人口は2000年の1,174千人から671千人にまで減少しており、減少率は40%を超えている。また、15歳未満も289千人から158千人まで減少している一方で、65歳以上は2000年から唯一増加しており、高齢化がさらに進んでいることが分かる。地方においては、女性が大都市へ転出することにより、出生数が低下している点も問題視されている。
2023年7月号の本誌では、前編として自然増減の観点から人口減少について考察した。本稿では、住民基本台帳人口移動報告に基づき社会増減の観点から人口減少の現状を整理する。
※若年女性人口(20~39歳)の減少率が2020年から2050年までの間に50%以上となる自治体
目次
- 全国の都道府県における転出入の状況
- 本県の状況
レポート一部
1. 全国の都道府県における転出入の状況
- 地方のほとんどが転出超過であり、依然として大都市への転出が進んでいる。
- 転出超の自治体では、男女を比較すると女性の転出が多い。
- 絶対数をみると、転出、転入いずれも男性の方が多い。