熊本県の人口減少要因を探る~若者の人口流出について~
はじめに
当研究所では、これまで「人口減少問題と地方経済への影響」(前後編)と題し、熊本県の人口について自然増と社会増のそれぞれの観点でレポートを公表している。
なお、後編の社会増に関するレポートでは、熊本県の転出数と転入数について男女別に分析を行った。本稿では、転入数と転出数について年齢階級別で分析し、特に県外への人口流出が問題となっている若者世代について現状を整理する。
目次
- 転出超過が続く熊本県(社会増減の推移)
- 熊本県の年齢階級別社会増減
- 継続する若者の転出超過(「15~19歳」「20~24歳」の社会増減推移)
- 福岡県、首都圏への転出が顕著(「15~19歳」「20~24歳」の転出先別転出者数)
- 意識調査に見る若者の転出要因
- 雇用と転出の関係
レポート一部
1.転出超過が続く熊本県(社会増減の推移)
熊本県の日本人移動者の転入超過数(転入者数から転出者数を差し引いた数。転入超過数がマイナスの場合は転出超過を示す)を見ると、1954年以降では、1976年~1980年と1993年~1995年の8年間を除き、転入超過数がマイナスとなり転出超過が続いている(図表1)。
最近では、熊本地震の影響で転出者数が一時的に増加した2016年以降は、転入者の増加により転入超過数のマイナス幅(転出超過数)は減少傾向にある。