熊本県内企業の女性管理職登用状況及び、男性の育児休業取得状況調査

はじめに

 生産年齢人口の減少による人手不足が深刻化し、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の重要度が増す現代社会において、女性活躍推進の重要性が高まっている。しかしながら、依然として女性の管理職や役員への登用が少ない現状があり、企業のDE&I推進における課題が浮き彫りとなっている。
 また、男性の育児休業取得の推進についても、仕事と家庭生活の両立を支援し、誰もが働きやすい職場つくりに向け不可欠な取組みである。
 そこで、当研究所では「第132回熊本県内企業業況判断調査」の特別テーマとして、熊本県内企業の「女性の管理職、役員登用」「男性の育児休業取得」(2024年 8 月時点)について調査を行った。

目次

  1. 女性管理職登用率
  2. 女性役員登用率
  3. 女性管理職、役員登用の課題
  4. 女性管理職、役員登用のメリット
  5. 男性の育児休業取得

レポート一部

  1. 女性管理職登用率

 女性の管理職登用について、政府は「女性管理職の割合が 2020年代の可能な限り早期に30%程度となること」を目指している。なお、厚生労働省は、「女性管理職比率については、企業の実情を踏まえつつ開示必須項目とすることが適当である」旨の報告書をまとめている。

 本調査の結果を見ると、管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合(以下、女性管理職登用率)は、「0%」が39.6%と約 4 割を占めた(図表1)。続いて、「30%以上」が20.9%となっている。

 今回調査と前回調査について、調査方法の変更により単純比較はできないものの、「0%」の割合は約4割と大きな変化がない一方で、「10%未満」が減少し、「10%以上20%未満」「20%以上30%未満」「30%以上」が増加している。

 自由回答でも、組織の多様性や人材採用での重要度を感じ、女性管理職登用に前向きに取組む声が聞かれている。

 業種別では、「0%」の割合が、個人サービス業で14.3%、事業所サービス業で23.3%となった一方で、卸売業で58.3%、食料品以外の製造業で53.3%と業種により差が生じている。ただ、自由回答では、女性社員の少ない食料品以外の製造業や建設業の企業からも、女性社員の採用や管理職手前の役職への登用といった管理職登用に向けた人材確保、育成に取組む声が聞かれた。

 従業員規模別では、「300人以上」で、「0%」と回答した企業はなく「10%以上~20%未満」が40.0%と女性管理職登用に取組む企業が多い。  政府が目標としている「30%以上」については全体で 2 割を超えたものの、従業員規模別では管理職全体の人数が少ない「0~29人」で34.9%、業種別では「個人サービス業」で42.9%と高い割合となっており、女性管理職比率が高くなりやすい一部の企業に限られているようだ。業種については、女性従業員の多い「医療・福祉業」で「30%以上」の企業が6社に上る。

調査概要

対象企業:県内主要企業 574社

調査期間:2024年8月1日~8月16日

回答企業:216社

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